【飛躍のヒント】HIV / いいじゃん、別に

坂本夏子です。

おとといのメールで、

「続きはあした」

なんて言いながら、昨日は、
お休みしてしまいました。

申し訳ありません!

終日、多種多量の緊急仕事に
「追われて」いて、へとへと
だったので、自分を休ませること
を、最優先にしました。

やっと、続きをいきます。

障害者雇用の話でしたね。

本社の人員計画上の制約が多く、
いわゆる「障害者枠」が持てずに
いた時に、とある候補者を、
紹介会社から紹介されました。

会社の求める要件を満たし、
障害者手帳を持っているという、
強力な候補者です。

最初、「感染症」と聞いていて、
感染症で障害認定をされる病気
って、なんだろう?

と、思っていました。

しばらくして、
後天性免疫不全症候群、と
聞きました。

なるほど。HIVね。

へー、HIVって、障害と認定
されてるんだ~。OK。

それだけ思って、話を進める
ことにしました。

配属予定の部署の長も、

「仕事上、問題なければ構わない」

との判断だったので、採用決定
です。

その時、一つだけ、検討した
ことがありました。

障害名を、社内で公表するか?

というのは、職場で感染する病気
ではない、という知識はあった
ものの、HIVが、社会で偏見を
持たれているという認識もあった
ので、

そこは、判断が必要だと考えた
のです。

しかも、当時、新規採用を、原則
としてストップしていたので、

「なぜ、外から新たに人を
入れるのか?」

について、社内で説明が必要
でした。

障害者手帳をお持ちの方であれば、
採用の必要性を説明しやすい
わけです。

でも、それを説明すると、

「どこが悪いの?」
「何か、職場で気を付ける
ことは?」

といった、素直な疑問を、
社員は持ちます。

それに答えを用意する必要があり、
どこまで開示するか? は、
ポイントでした。

結論として、ご本人と相談の上、
「内部障害」という開示をし、
それに留めました。

ほどなくご本人が入社し、
職場の仲間ともうちとけ、
プライベートなことも話すように
なりました。

だんだんと、話題が、その人の
病気にも及ぶようになり、ある時、
同僚のひとりが、

「それってエイズじゃん」

と言ったのです。

そして、本人が、Yes と言った。

そこからが大変でした。

同僚たちが動揺しました。

会社に対して、

「なんで言ってくれなかったん
ですか?!」

「私たちに何かあったら、
どうするんですか?!」と、

厳しいことばが飛んできました。

私の反応はこうでした。

ん? 何かあるって、
何もないけど。

HIVは職場で感染するような
ものじゃないし。

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いいじゃん、別に
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障害者雇用は、企業として、
やるべき正しいことだし。

さらに、最重要だったのは、
ダイバーシティという考え方です。

よく日本語で、多様性と訳され
ます。どういうことかというと、

「世の中は、いろんな人で成り
立っている」という前提で、
社会をとらえます。

そして、人と人とが互いの違いを
理解し、リスペクトし、補い合い、
活かし合い、チームの力を最大化
する、という考え方です。

同じような人ばかりがいると、
何かと偏り、集団として弱い
のです。

私がいた会社は、
アメリカの会社らしく、
ダイバーシティを、経営思想と
して大切にしていました。

なので、障害者雇用も、人員計画
上の制約はあるけど、ちゃんと
やろうね、と覚悟を決めて、
取り組んでいたのです。

HIVだからといって、排除する
ことは、ありえませんし、
排除していては、せっかくの人を
逃してしまい、会社は損します。

そういうことを、いくら説明
しても、動揺した同僚の気持ちは
収まりませんでした。

参ったな、どうしよう?

続きはあした。(今度こそ)

あっ、この物語、20世紀の最後の
年でした。

ではまた!

坂本 夏子

ことば屋&人事屋
LABプロファイル®
マスターコンサルタント
トランスフォーメショナル
コーチ®