坂本夏子です。
前回の続きです。
HIV 陽性者を採用して、予想外に
社内で問題が起こってしまった
あと、
医師を招いた勉強会を行った
ところ、先生の迫真のプレゼン
テーションのおかげで、周囲の
不安が解消しました。
のみならず、その後、職場の
連帯感が高まった、
というところまで、お伝えして
いました。
その続きです。
勉強会を企画した際に、HIV
陽性者の支援を行っているNPO
との接点が生まれました。
ぷれいす東京という団体で、
キーマンとして、生島さんという
方がいました。
生島さんは、フォードの事例に、
興味を持たれました。
というのは、彼の経験では、
「社員がHIVに感染しているのが
わかった。どうやったら、解雇
できるか?」
という相談を企業から受ける
ことはあっても、
「社内で問題がおこって、勉強会
をすることになった。手伝って
欲しい」
という相談は、初めてだった
そうです。
その後、彼から、とある健康保険
組合による企業向けセミナーで、
フォードの事例をシェアしてくれ
ないか、というリクエストが
ありました。
上司に話したところ、
お前は、そういうところには、
どんどん、出ていけ
と、快諾だったので、そうしました。
「職場とプライバシー」という
タイトルのセミナーで、
話し始めると、
200人くらいの聴衆が、
シーンとしています。
ん?
もしかして、みんな真剣に
聴いているの?
そうでした。
イベント終了後に、主催者や、
他のスピーカーとの懇談会が
あり、面白い質問を受けました。
「HIV陽性者の応募があった際、
よく、あっさり、OKしましたね?」
あれこれ、論理的に説明した
ものの、早い話が、
Yes 以外の何もない
No という理由がない
が答えでした。
そして、気づいたのです。
世の中にはHIVへの偏見が、
実際、存在していて、陽性者は
就職活動の入り口で、苦労して
いる、と。
その後、ぷれいす東京の、陽性者
向けの会合に、企業の人事
担当者として参加したところ、
多かった質問は、
「HIV陽性であることが、医療
機関や、健康保険組合から、
会社に伝わるのではないか?」
と、
「おたくのような会社は、どの
ようにしたら見つかるのか?」
でした。
できる限りのアドバイスをしながら、
私が、あたりまえだと思ってやった
ことが、世の中では、あたりまえ
ではない、と、実感しました。
そのようにして、リアルにHIV
陽性者に接してみて、わかった
ことがあります。
この人たちは、企業にとって、
即戦力になる。
みんな、障害者手帳を持って
いて、障害者雇用の切り札でも
ある。
しかも、障害の等級が、1級、
もしくは2級と高い人が多く、
一人採用すれば、二人分の
障害者として、カウントできる。
(補足しますと、障害の程度に
応じ、「等級」があります。
数字が小さいほど、程度が重く、
1級、2級は「重度」の扱いです。
重度だと、一人雇用すれば、
二人分の障害者を雇用していると
法律上、認定されます。)
しかも、ほとんどの会社は、まだ、
このことに気づいていない。
結論:
HIV陽性者は、会社にとって、
障害者雇用の宝の山であり、
ブルーオーシャンである!
陽性者にとって、うちの会社は、
魅力が高い。
事前に社内で勉強会を実施する
など、ちゃんと手を打てば、
問題は防げる。
「障害者雇用」という特殊ルートを
利用することなく、彼らが、普通に
就職できる社会であるのが理想
かもしれないけど、
そこにいたる途中で、特殊ルートを
活用することは、立派な選択肢。
これは、Win-Win の関係。
よその会社が気づくまえに、
うちが、採用しよう!
というわけで、HIV陽性者を
募集して採用する、
という戦略を、私は定めました。
実際にそうしてみると、発見に
次ぐ発見があり、楽しく幸せな
経験でした。
次回は、その話をします。
ではまた!
坂本 夏子
ことば屋&人事屋
LABプロファイル®
マスターコンサルタント
トランスフォーメショナル
コーチ®