【飛躍のヒント】HIV / 人事が社会を変えた~!

坂本夏子です。

HIVシリーズ、その6です。

昨日のメール
涙が出そうになりましたでは、
2例目の採用において実施した、
勉強会のことをお伝えしました。

社員アンケートで、たくさんの、
意識の高いコメントがあり、
私たち人事部も、さらに、
乗ってきました。

とどめの一発、みたいな提案が
これでした。

「今日の勉強会に参加してない人や、
途中で帰った人がいる。
その人たちのフォローが必要」

確かに!

そこで、会社の方針を明文化して、
勉強会を実施した部門の全員に
配信しました。

その後、その文章は、国の冊子や
「ハートをつなごう」という
NHK 教育 TV の番組を通じて公開され、
大きな反響がありました。

そこから引用します。

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障害名開示についての当社の方針

このたびAさんが当社に入社するに
あたっては、ご本人、所属長、
および人事にて検討の結果、
Aさんには障害名を開示のうえ、
入社していただくことに
なりました。

但し、入社以降は、Aさんも、
所属長も、人事も、障害名の開示は、
社内外において、積極的に
行うことは一切いたしません。

しかしながら、
今後、社内外において、
何らかの経路でAさんの
障害名を知った方から、
ご本人、所属長、あるいは人事に
問い合わせがあった場合は、
特別な隠し立てはせず、

「障害を理解したうえで
一緒に
仕事をする職場の一員である」

というこを明確にお伝えします。

皆さまも同様の対応を
お願いいたします。

当社には、
障害のある社員が他にもいます。
また人はそれぞれ、持病や悩みや、
自分あるいは家族のことで
他人には知られたくないこと等、
さまざまな事情を抱えています。

そういった個人の事情に、
お互いに敬意をもって
接していただきたく、
皆さまの良識ある判断を
お願いいたします。

===============

私たちは、
自分が「少数派」である側面と、
「多数派」である側面の、
両方を持っています。

例えば、
人種・国籍が日本(人)であるHIV陽性者は、
在日韓国人が経験するかもしれない
苦労とは、無縁なのです。

その、自分と他者がもつ、
様々な側面に気づき、
それをリスペクトするだけで、

世界は違って見えるのでは
ないでしょうか。

アンケートの中には、
本人の状態についての質問もありました。

それについては、
人事が本人に回答を用意してもらい、
それを、社内で配信しました。

そこまでの準備をしたので、
最終的に採用が決定したAさんは、
入社の時点で、すでに、同僚と
バーチャルなコミュニケーション
が取れています。

入社当日は、拍手で迎えられ、
少し、照れながらの入社でした。

そして、活躍されました。

以上の2例が、
私の、HIV陽性者の雇用経験です。

以前、お伝えした、NPO法人からの
要請に従い、私は、この経験を、
2010年まで、計10回、公的機関
などでシェアしました。

そのNPO(ぷれいす東京)は、
極めて戦略的でレベルの高い
支援・研究活動をしています。

国の予算をとって、啓蒙のための
DVD教材を作ったり、
TV番組に協力したりも。

そういう活動にも声をかけていただき、
HIV陽性者の就労環境の向上、
雇用実績の増大に貢献する
機会を得たことに、
とても感謝しています。

生島さんという代表者
(前日本エイズ学会会長)から、

「フォードは、HIV陽性者の雇用に関し、
日本の社会に成功のモデルを作った」

とのコメントをいただいたのが、
私にとって、人事屋としての、
勲章です。

人事は、会社の商品に直接は
タッチしないので、商品を通じて、
社会を変えることはできません。

でも、自分たちがリードする
会社の文化を通じて、
社会を変えることができます。

それを知りました。

長々と、読んでいただき、
ありがとうございます。

さて、私はなぜ、この経験を
語ったのでしょうか?

実は、過去の講演は、ほとんど、
匿名で行いました。自社の社員の
プライバシーに配慮して、です。

このたび、8年ぶりに、しかも、
フリーの立場で初めて、
HIVをテーマとする医療関係者向けの
イベントに参加することになりまた。

10/7 、場所は広島大学病院です。

進化した自分として、
そこに臨みたく、
新しいことを語ります。

そのために、自分の名前と責任で、
昔の自分のことを、
表に出したかったのです。

空っぽにすれば、新しいものが、
入ってきますよね。

PS:

ここで後日談があります。

上述の医療関係者向けのイベントで
とある HIV 陽性者とご一緒しました。

お名前をシゲさんといいます。
シゲさんは陽性者の交流会の
運営に携わっています。

当事者であるスピーカーとして、
ご自身の就職活動のエピソードなどを
語っておられたのですが、

私がこの記事でお伝えした冊子を
当時、持ち歩いていたというのです。

HIV のことを知らない企業の人たちに、
自分のことの前に、まず HIV のことを
知ってもらう必要があり、

その冊子や “うちの会社” の事例を
ツールとして使ったそうです。

嬉しかったですね。

自分たちがやったことが
誰かの人生の助けになっていたのを
知ったのです。

そして15年以上の時を経て、
その人と私が出会ったのです。

縁ですね。
二人で握手をしました。

(シゲさんのご了解のもとに記載しています)
(2019/10/11 加筆)

ではまた!

坂本 夏子

ことば屋&人事屋
LABプロファイル®
マスターコンサルタント
トランスフォメーショナル・
コーチ®