【飛躍のヒント】ドライなモノに愛を与えることば

坂本夏子です。

1988年(昭和63年)の、
日本での大きなデキゴトって
何でしょうか?

私の基準での
大きなデキゴトですが、
青函トンネルと瀬戸大橋が
開通したのです。

日本が世界に誇る土木技術を集めた
”悲願の” 建造物で、
国中でお祝いムードだったのを
覚えています。

アメリカから赴任してきた
会社の上司が、

「日本って、橋やトンネルに、
すごく誇りを持っているよね」

と感慨深げでした。

あれから30年以上たった今日、
日本の土木技術の専門家を
知りました。

その人のことばが、
今日のテーマです。

ことばの主は、
大石久和さん(75歳)。

土木工学で大学院を卒業し、
1970年(昭和45年)に、
旧建設省に入省(現在の国土交通省)。

ずっと道路行政に携わっていました。

道路局長ー>技監となり、
2004年(平成16年)に退官。

この国に道を通すプロです。

現在は、ライフワークとして
”国土学” を推進しておられます。

そんな学問があるんですね。

その大石さんの一言が、
しみじみといいことばでした。

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国土にはたらきかける

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”はたらきかける” という
動詞がたまりません。

取り組む でもなく、
開発する でもなく、
整備する でもなく、
保全する でもなく、
維持する でもなく、
制御する でもなく、

はたらきかけるのです。

なんだかとっても、

響きが美しい。

人間的なやさしさがある。

やわらかい。

押し付けていない。

謙虚。

相手を大切にしている。

対話している。

互いに受容しながら、
一緒に歩もうとしている。

日本の山、川、谷、丘、平野、海、
海岸、田畑、森、林、湖、沼、島、
すべての土地と、

その恵みを受けて暮らす人々への
愛を感じる。

実際、
大石さんの次のことばは、
これでした↓↓↓

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国土にはたらきかけなければ、
国土から恩恵は受けられない

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土木という、
物質的、技術的な分野に、
これだけ人間的な深みを
与えることばが、あるだろうか。

そこに感じ入りました。

何百年もかけて、
もしかすると何千年(?)、
日本人は、国土に
はたらきかけてきたんですよね。

大雨がふるたびに暴れる川の
流れをかえた。

田んぼに水を回すために、
ため池をつくった。

水から人を守るために、
堤防をつくった。

山と平地の境に、里山をつくった。

火山が噴火したときのために、
避難小屋を建てた。

電気をつくるために、
ダムをつくった。

人の行き来がしやすいように、
トンネルや橋をつくった。

北太平洋にポツンと浮かぶ、
孤高の列島で、

そんな営みを
ずっと続けてきたんですよね、
我々の先人は。

じゃあ、
その国土をどうやって守るのか?

毎年、自然災害で
多くの人が亡くなる国土に、
今後どのようにはたらきかけるのか?

昭和30年代、40年代に
日本中で作られた、
橋やトンネルやダムが、
耐用年数を迎えつつあって、
事故や災害の危険が増しているのに、

保全のための人員も
予算も減る一方と聞く現実に、
主権者は何をすればよいのか?

問いが増えるばかりなのですが、
今日はまず、先人に感謝し、
大石さんのことばをかみしめます。

国土にはたらきかける。

あなたが、今、はたらきかけたい
人は誰ですか?
対象は、何ですか?

<参考>

大石さんの国土学のお話を
直接、聴けるサイトがあります。

「大石久和のラジオ国土学入門」
https://www.1242.com/kokudogaku/

保存されている音声ファイルの下の方には
ブログもあるので、
文章で読むこともできます。

ではまた!

坂本 夏子

ことば屋

LABプロファイル®
マスターコンサルタント
トランスフォーメショナル
コーチ®


#466

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