坂本夏子です。
「夫がコロナウィルスのニュース
ばかり見ていて、精神的に参ってきた。
東日本大震災の時もそう」
と、今日、語っていたのは、
私の仕事仲間、恵子さん(仮名)。
彼女は同業の夫と事務所兼自宅に
住んでいて、夫がコロナウィルス
関連のTVをハシゴして、
一日中見ている、とのこと。
流れてくるネガティブ情報を
浴び続けた結果、彼女にとって
特徴的な身体症状が出てきたそうです。
恵子さんは、その症状が出るのは
体が警告を発しているサインと
知っています。
そこで夫に事情を話し、
自分の前でコロナウィルス関連の
TVを見る時間に、
上限を設けてもらったとのことでした。
私はこの話を聞いて、3.11 の時の
ジェームス・スキナー氏の
ストーリーを思い出しました。
ジェームスは、
20世紀を代表する名著
「7つの習慣」を日本語に訳し、
日本で「7つの習慣」を広めた人です。
普遍的な、人のあり方を説いた本で、
あなたもよくご存じかもしれません。
今からお伝えする9年前の
ジェームスの話は、
自分の現場で最善を尽くす意味を
教えてくれていて、私は好きです。
震災の当日の夜のことです。
東京は帰宅困難者であふれていました。
事業所の中には、オフィスを開放し、
備蓄していた毛布を提供して、
家に帰れない人のために
一夜の居場所を提供したところも
あった夜です。
都心の高級マンションの住人
であるジェームスは、
「今の自分にできる最善は何か?」
と問いかけます。
答えは、
「自分は、助けを必要としない
状態でいること」
そして彼は目の前にいる、
家に帰れなくて困っている
見ず知らずの人々7-8人に
声をかけ、
営業しているレストランを見つけ、
一緒にご飯を食べにいきます。
そのあと、
「ウチに泊まっていきなよ」と
彼らを誘い、一緒に自宅に戻りました。
そして、リビングで、10分だけ
TVをつけるのです。
「何が起こっているのか、
知っておく必要はある」
「でも、それ以上見ると、
メンタルに悪影響が出るし、今、
この瞬間の自分たちに、
東北の人々のためにできることはない」
ジェームスは、
津波の被害を受けた場所に、
かつて住んでいたことがあり、
お世話になった人々もいて、
個人的には他人ごとではなかった
そうですが、
じゃあ、今の自分に何かできるか?
といえば、そうではないわけです。
その後、たしかジャッキー・チェンの
カンフー映画を見て、みんなで
楽しく一夜を過ごしたとのことでした。
このストーリーを聞いて、
あなたは、どう思いますか?
震災当日の大変な夜に、のんきに
娯楽映画を見るとはなにごとか!
不謹慎だ!
と感じますか?
ジェームスの意図は明確でした。
「これだけの災害が起こった以上、
限られたリソースは、本当に助けを
必要としている人々のために
向けられるべき。
そのためには、自分は助けを
必要としない状態でいることが、
一番、大切。
それが自分にできる貢献であり、
そういう人を、少しでも生み出す
ために、今の自分にできる最善は、
一夜の仲間と楽しく過ごすこと」
それを実行し、翌朝、7-8人の
”新しい友だち” を、それぞれの
場所に送り出しました。
いい話だな、と私は思いました。
そして思い出したのが、昨年、
アフガニスタンで銃弾に倒れた、
中村哲さんが、よく言っていた
ということばです。
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一隅を照らす
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このことばの意味は、英訳のほうが
わかりやすいかもしれません。
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Brighten the world in your corner.
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出典は、
私のふるさと福岡の西日本新聞社の
中村哲医師特別サイトです。
https://specials.nishinippon.co.jp/tetsu_nakamura/
直訳すると、
あなたのいる角(隅)で、
世界を明るくしなさい。
言い換えれば、
自分のいる場所を自分の世界と
とらえ、その世界を照らしなさい、
ということですよね。
一人一人の現場は違うけど、
そして持っている現場の大きさは
違うけど、
一人一人が、自分の現場で、
その場所をもっと明るくすれば、
世界は自ずと、もっと明るく輝きます。
そしてそれは、日常的にもできるし、
「今ここ」の瞬間にもできる。
人生とはそういうことか、
幸せとはそういうことか、
役割を果たすとはそういうことか、
と学んだことばでした。
あなたが照らす一隅はどこですか?
ではまた!
坂本 夏子
ことば屋&人事屋
LABプロファイル®
マスターコンサルタント
トランスフォーメショナル
コーチ®
人事コンサルタント