【飛躍のヒント】悪い知らせを伝える極意

坂本夏子です。

前回の続きです。

前回は、行きつけの美容院での
出来事で、こんな話でした。

4月、5月はお客さんが大きく減り、
営業を続けてはいたものの、
売り上げは減り、
従業員は仕事がない。

経営者である社長は、
従業員を交代で休ませ、
その分、給料を減らす決断をした。

その時の社長のメッセージは、
「人件費を減らすために、
君たちに休んでもらう」だったと、
私の髪をカットしてくれた美容師、
Nさんが言っていた。

Nさんの反応は、
「社長がそこまでハッキリ
言ってくれたのでスッキリしました」
だった。

さらに社長は、
「会社を守ることが君たちを
守ることなんだ」とも言ったそうで、

それを聞いて Nさんは、
社長の話に納得して、
給料が減るとわかったうえで、
休んだ。

…… という話でした。

給料が減りました

この話に私はとても感じ入ったのです。
どこが感動ポイントだったかを、
まず、お伝えしますね。

二つあります。

一つ目は、

「人件費を削るために君たちに
休んでもらう」なんていう、
社員の受け取り方次第では、
大きなネガティブ反応を
引き起こしうるメッセージを、
社長がストレートに出した点です。

社員からは、へたすると、

「自分たちは、ただの人件費か?
一生懸命仕事して、お客さんに
喜んでもらって、腕も磨き、
リピートしてもらっているのに、
コロナウィルスのせいで
お客さんが減ったとたん、
自分たちは悪者扱いか?」

という反応が出てもおかしく
ありません。

にもかかわらず、人件費という、
ある意味、身も蓋もない
ど・ストレートなことばを使って
メッセージを発した(とNさんが
語っていた)社長の発信力は
すごい、と思ったのです。

二つめは、

社長の発信から、今、起きている
ことは会社だけでなく、
自分にも仲間にも関係することなんだ、
と理解し、

”当事者意識をもって納得して”
給与カットを伴う休みに応じた
Nさんの、受信力に感心しました。

まだ20代半ばなのです。

もしこれが、私がその年齢の頃に
起こったとしたら、私は、
彼のように反応しただろうか?
と、わが身を振り返りました。

私はそのお店の15年以上の
固定客ですが、この手の、
「すごい会社だよね」という
状況証拠がたくさんあります。

そして、ここからが今日の本題です。

目の前の人を動かすためには、

あなたが、社長であっても、
上司であっても、はたまた、
部下、同僚、妻、夫、親、子、
ご近所さん、お客さん、お店、
お医者さん、先生など、

立場の違いはあったとしても、
相手に納得してもらってナンボ
ですよね。

それがなくて押し付けようとすると、
一時的に相手が従うことは
あり得ても、長期的には
うまくいきません。

しかも人生には、
今回の美容院の社長のように、
”悪いお知らせ” を伝える場面は
あります。

そんな時、どのように伝えるか?

LABプロファイル®の師匠、
Shelle Rose Charbet
(シェリー・ローズ・シャーベイ)から、
コンサルタント・トレーナー
養成講座の中で学んだ、
秘伝の公式をお伝えします。

名付けて、
The Bad News Formula (c)
(悪いニュースのための公式)。

シンプルです。

悪いニュースを一つ、ハッキリ伝え、
そのあと、
良いニュースを、三つ、伝えます。

その時、ニュースを一つずつ
伝えることと、接続詞がポイントです。

こんな流れです。

=============

悪いニュース(はっきりと)

しかし

良いニュース・その1

そして

良いニュース・その2

そして

良いニュース・その3

=============

今回の美容院のケースを勝手に
例に使わせてもらうと、たとえば、
こんな感じでしょうか。

準備として経営状態を説明したうえで、

会社は営業を続けますが、
みなさんには、交代で、休みを
とってもらいます。その分、
給料は減ります。

しかし、
それによって、会社はもちこたえ
ることができます。

そして、
みなさんの職場が残ります。

そして、
外出自粛期間中でも来店くださる
お客様には、その日出勤している
メンバーで、目一杯、力を発揮
してください。

あくまでも、私の勝手な想像です。

この公式のいい所は、
悪いニュースを、ズバリ、
伝えられる点です。

やさしく言い換えて、かえって
ウソっぽく聞こえてしまう
リスクはありません。

悪いニュースであるのは事実なので、
相手をハッピーにすることもできません。

でも、その、悪いニュースの中に、
よい面を見つけて、きちんと伝えれば、
あなたの誠実さは伝わるでしょうし、

「そんなに悪くもないかもね」と
相手は受け取るかもしれません。

私たちの脳は、”あとからきいたこと”を
より鮮明に記憶しますので、
良いニュースを、あとから
伝えるのは (しかも三つも)
賢い戦術です。

良いニュースがなかったら
どうするんですか? という質問には、
シェリーは「つくりだすのよ」
と言っていました^^

今度、バッドニュースを伝える時に、
使って効果を確かめてみては
いかがでしょうか。

ではまた!

坂本 夏子

ことば屋&人事屋

LABプロファイル®
マスターコンサルタント
トランスフォーメショナル
コーチ®
人事コンサルタント